ウインド・リバーはアメリカの知られざる秘密を描いている
アマゾンプライムでウインド・リバーという映画を見つけたので、息抜きがてらと思って観てみたらこの映画大当たり。
おすすめしたくなったので紹介します。ネタバレありなので、気をつけてね。
ストーリーは激寒の地、ワイオミング州のネイティブ・アメリカン保留地で起きた凍死体を見つけるところから物語が始まります。
映画の最後に「数ある失踪者の統計にネイティブアメリカンの女性のデータは存在しない。実際の失踪者の人数は不明である」とテロップが出て、一瞬どういうことなのかと思ったけど、恐らく失踪者の人が多すぎるからなのか、公表すると問題になるからしないのかいろんな問題が孕んでいるんだろうなと思わされる文章であると思いました。
この映画が描いているのはアメリカの暗部。アメリカが決して公表したくないことをサスペンス映画としてうまく描かれています。
私がこの映画を見て思ったのはこんな無法地帯のような土地が実際にアメリカにあるということ。
無法地帯というのはどういうことかと言うと、土地も肥沃でない土地、アメリカからは何のメリットもない土地にネイティブアメリカンを追いやり、極めて不平等な立場に置かれていることが映画からみてとれます。
本来アメリカの地に現住していたネイティブ・アメリカンを制圧し、居留地に追いやられている現状。アメリカの国旗が逆さまにして掲げられているのはアメリカに対する反発心の現れだと言えます。
そして、保安官の数も広大なエリアからしてわずか数人という状況。住民はそんな状態の中で満たされない思いのはけ口として少女に手をかけてしまう。
殺人の割合も遥かに高いということで、いかに異常な環境の中で生きているのかがわかります。
そして、これはフィクションなのかとさえ思うくらい残虐な、危険な世界が隣り合わせの中で生きている。若い女性がとても危険な目に合いやすい社会なんだと思い、そして、このエリアの現状は今も続いていると思うとアメリカの暗部であるのだと気づかされました。
もし、私がここの土地で生まれたならばどんな思いで生きるのだろうか。
生まれながらにして不平等な社会で生きることの困難さ。
そのことに気付かされ、今こうして日本に生まれ、自由に生きていることの価値も感じる映画でした。
おすすめの映画です。